ハリスツイード 


大昔から身近にいる羊の毛を紡いで織った布は
スコットランドの厳しい気候に耐える丈夫なツイードでした
 
地方によってツイードの発達は多少の違いはありますが
大西洋に面して特に気候が厳しく生きることがとても大変だった、アウター・ヘブリディーズ諸島

過去にはノルウェーバイキングが攻めてきて、やがて住み着いたバイキングと独自な文化が発達したハイランドの強いスコットランド魂が受け継がれたところです

ハリスツイードは、英国羊毛だけを使い、この地域で手織りにされた布という定義があります
ハリスツイード、オーソリティーがその元締めとして、品質管理等を担っています
その下に紡績と布の仕上げをする工場が3つあり、その先に自宅で織る人たちがいます
工場ではサンプル以外織ることを認められていないそうです

過去に2回のハリスツイード存続の危機を乗り越え、再建されて数年
日本のハリスツイードブームが追い風となって、現在とても活気があります

3つの工場の中でも一番大きなHarris Tweed Hebridesを見せて頂きました

全ハリスツイードの約80%をこの工場が生産、
その中の85%ほどが日本に輸出されているそうです

工場のデザイナーが糸の色等のデザインを作り、それにしたがって、経糸をバックビームに巻き取るところまでを工場でしてから緯糸分の糸と一緒に織手さんの所へ届けられます
織手さんたちは、工場から届く布を織って工場に戻され、仕上げられます

別に工場から糸を買って自分のオリジナルツイードを織って、工場の分と同じように工場で仕上げをしてもらって、条件を満たしていれば、ハリスツイードと認められ販売することが出来ます

今は、幅150cmのダブル幅を織る人が多いそうですが、中には昔ながらのシングル幅で織っている人もいます。どちらも、電気は使わない、人力で動く織機です
それが手織りとしての条件になっています

シングル幅のハタスリーは足踏み式で、シャトルを使います
この写真はBlackhouse Villageの博物館で実演していたものです




ダブル幅の織機は自転車をこぐようにペダルを回し、シャトルは使わず、コーンなどから直接引いて織る機です
手前に見えているのがペダルです

2007年に再建されて再稼働を始めたこの工場
それまでになかった、赤やピンク等鮮やかな色やタータンタイプのチェックの生産を始め、日本のお店でも多く見かけるようになりました。
これまで10回以上スコットランドを訪れていながら
初めて、ルイス島とハリス島へ渡ってハリスツイードを見てきました
自分の目で見て、関わる人たちの思いに触れて、とても、親しみを感じて帰ってきたのですが、それをどういう言葉に出来るのか・・・見えてきませんでした

それは、ハリスツイードは手織りHand wovenと言っているけれど
日本の手織りの感覚からいうと、それが手織りと言えるのか?
使う織機は歯車が沢山ついたハタスリー
電気は使わず、足踏みで織機を動かす人力ではあるけれど・・・

ウールの服地はホームスパンという、半ば固定観念の様になっている日本の手織り
私はこんなに楽しいと思うのに、見向きもされないという長い時間が過ぎました
それは工場で紡績された工業用の糸を使って織ると、工場生産と同じもの、それを手で織っても・・・という感じなのでしょうか?

スコットランドでは5000年も前から糸を紡ぐ人達と、その糸を買って織る人達は分業だったと聞きました

5歳から糸紡ぎを習わされたとか、長い間かなりのマンパワーが糸紡ぎに従事
織る人はブローカーから糸を買って織る
     
       ↓

18世紀後半の産業革命で糸の紡績が可能になり、紡ぎをしていた人は失業
織る人は紡績工場から糸を買って織る

       ↓

織工場が増えて自宅で織っていた人が少なくなり、
でも、私が初めてスコットランドに行った1981年にはまだ、デイビットの様に自宅で織っている人がいました。 今のハリスツイードの織手さん達の様に・・・

私は、これがスコットランドの手織りだと思います


ハリスツイードについてにもっと詳しくお知りになりたい方は、この本がお勧めです

また興味がある方は Hattersley loom で画像検索をかけてみてください
ハリスツイードを織っている人たちが沢山出てきます

次回は工場内の写真をご紹介します

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