私がツイードに手織りを習いに行った英国は
長い紡毛糸の衣服文化と、手織りで工業用の毛糸使うバックグランドがあります。
ブリテン島には古くから羊が居て、大昔から人々は羊がくれる羊毛を糸にして衣服を得ていました。写真はスコットランドで撮影
そこに居る羊はツイード向きの毛質(短くて縮れている)なので
それが産業として発展したことはとても自然です。
5000年前から糸を紡ぐ人とその糸で織る人は別だったと聞いたことがあります。
産業革命前、人々は暮らしのために羊毛を手紡ぎし
それを買い集めて織り手に売る商売をする人がいて
織り手は織れた布を売って生計を立てていたそうです。
産業革命で糸の機械生産が始まると、織り手は工場から糸を買って織り
その後織機が開発されて、やがて生計が成り立たない手織りは無くなっていったというのは自然な流れであったと思います。
今でも英国の手織りは、工業用の糸を買って織るというのが当たり前。
英国にいるのは肉用の羊、その毛は、短く縮れていて紡毛糸向き。
その糸で織った物は洗って、油で抑えていた毛を広げ絡ませて縮絨することでしっかりした布になります。
*工業用糸に油が付いている理由
紡績時に羊毛を傷めないために油と水を混ぜた物を吹きかけます。
機械で製品化(織やニット)する時に毛羽立ちを抑え、切れ難くする効果があります。
元々羊が居なかった日本に羊毛が入ってきた時に
日本の衣服文化(着物を織る絹や細い綿糸)で馴染まれていた
「すんなり滑らかな毛糸」を作ったのだろうと想像します。
それは長い羊毛だけを平行に揃えて撚りをかけた梳毛糸です。
手編み用の毛糸が人々の1番近くにある梳毛糸ですね。
例外はありますが、一般的に収縮性があり摩擦に強く、
編んだ後でサイズや風合いが変わらない、編み糸に適した性質です。
また学生服や紳士用スーツなど薄手で丈夫な服地も梳毛糸で織られています。
このような衣服文化の違いからか、
約50年前に私が体験したら「洗って変わる糸」のことを知る人も
興味を持ってくれる人もいませんでした。
そういう点からはインターネットの発達とSNSの普及は凄いものですね。
しかしながら、
縮絨については実物を見て、触って自分で経験する以外に本当の理解に至りません。
東京スピニングパーティーに色々な実例を持っていきます。
触ってみて、その風合いが好きな方だけに限定販売のキットも用意いたします。
勿論通常販売しているスコットランド製ラムウールの糸で織っても
とてもふっくらした風合いになります。
これまでタリフの糸で織られた物を見せてください❣️
又は他の糸でも風合いに満足していない布がありましたら
是非会場にお持ちください。
見せていただいたら、何かアドバイスがあるかもしれません❣️