ウールと絹



ウールと絹の市松マフラーを洗いました。

洗う前の写真を撮るのを忘れて、石鹸液の中へ。
良く縮むウールなので、絹のところシボが出るまで揉み洗いします。

パリッとした布がこんなになりました。

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作品展のお知らせ

5年ぶりの作品展をいたします。

少しずつ織っていた物がたくさんになり、皆さんに見ていただける量になりました。
これを機に、私の手織り服地のブランド名として
「Handweaver Keiko」ハンドウィーバー ケイコ と決めました。
これは、私のオリジナルタータンの名前でもあります。

長く服地用紡績糸(機械で作った糸)で服地を織ってきて
同じように見えて、機械織りには無い布であると自負しています。

軽く暖かいコート、手持ちの服地で作ってみたベスト、
少量ずつ残った糸のカラフルなマフラー、
絹糸と組み合わせて織ったマフラーなど。
趣味で編んでいた編み込みの帽子もあります。

お気に入りを見つけていただけると嬉しいです。
準備しながら作品の写真も撮ってお知らせしたいと思います❣️

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めだか荘訪問

1か月ほど前のお話しです。

紳士服のレジェンドと言われる赤峰幸生氏に、手織りのツイードを見ていただきました。
めだか荘というのはお仕事されている住宅地にある1軒家。

長くツイードに“こだわって”織ってきましたが、紳士服地としてなかなか認めてもらえません。
着物地なら手織りと機械織りの違いを知る人は多いのに、
私の服地に対するこだわり「機械織りでは出せない風合い」は通じるのか????

伺う前にご著書「赤峰幸生の流儀」を読みました。


伝統的な紳士の装いにこだわりを貫く赤峰氏の流儀に、
伝統ある色の使い方や手間をかけて良質な装いの好みなど共感することが多くありました。

実際めだか荘には、伝統的な装いの数々や資料がたくさんありました。
これまで私が訪ねたテーラーと違うのは、赤峰氏ご自身が長く愛着されて来た装いの数々、
また現在購入可能なこだわりの布で作られたお勧めの装いが提案されていること。

説明してくださるお話しの中に、私がスコットランドで訪ねた会社や工場、また伝統的なチェックデザインなど、共有できることを多くお持ちで、とても嬉しい経験をさせていただきました。たくさんの資料の英国の書棚には、私のツイード織りの教科書である「Scottish Estate tweed」の本もありました。

持参して見ていただいたツイードは、目が詰まった良い服地と評価してくださいました。
ただ、伝統的なトータルコーディネートを大事にされる赤峰氏の流儀と、色を組み合わせてチェックを織る私のツイードは、全てが合う物では無いこともわかりました。

持参した服地

このことから、私の手織り服地の立ち位置は、主に「婦人用一点物」とはっきり見えてきました。
勿論ツイード用の糸を使って織った服地は紳士ジャケット向きの服地もありますが、
この頃は柔らかい物やモヘアを使った物、紳士向きではない大きなチェックの服地も織っています。

歳を重ねて以前ほど織れないジレンマはありますが、
少しずつ想いを布に織ることを続けたいとエネルギーをいただきました。

この経験をアウトプットするまで時間がかかりましたが、
めだか荘で与えられたことが多く、バラバラなジクソウパズルをはめる作業のように、
言葉にまとめる時間が必要でした。

今まで通り、私の限られたキャパシティをフルに使い
身の丈にあった自分らしい織りを目指したい、自分の想いを新たにしました。

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スピニングパーティー終わりました。



会場へお越しくださった皆さま
ありがとうございました。
多くの方々で会場熱気ムンムンでした❣️

余裕無くお店の様子の写真も無い💦
なので、久しぶりにお会いした方が
撮って下った写真の背景をご覧ください。

たくさんの同じ楽しみを持つ方々とお会いできて
色々なことをお話しできて
楽しかった❣️ 嬉しかった❣️

ご自分の作品を持って来て見せてくださった方々
ありがとうございました。
一つ一つに皆さんが大事に織られて、洗って仕上げられた楽しまれた様子が感じられました。
皆さんの作品からまた多くを教えていただきました。


話を聞いてくださった方々は「全部は解らない〜」と
思われたことでしょう。
私だって長い時間をかけて見つけた答えだったりします。
なので、新しい発見が1つあればOKです。
そこから、ご自分で確かめたり、次の疑問が出てきたり、
ぜひその工程を楽しんでください〜

新作キットがどれも人気でした。
キットがあっという間に売れて、ご注文いただいた方も。
順次用意してお送りするので、少しお待ちください。

私が着ているシャツは娘のオリジナル羊のプリント
この日のためにシャツを縫ってくれました。
準備が整ったら販売もあると思います〜

などなど書ききれません。
少し休んで次へ進みます。

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スピニングパーティーまで1週間

新作キット

東京スピニングパーティーまであと1週間
準備が遅れていましたが
いよいよ ’しっぽ‘に火がついた🔥
準備していた糸を並べてみました。
最初からキットを意識して織っていた訳ではないけれど
どれも、私のお気に入りばかり❣️
お出かけ毎に違うマフラーを巻いてみたい。

今回初めて国産毛糸を使ったキットを作りました。
国際輸送の費用の分お安い価格。
スコットランドの糸と同じような風合いに出来上がります。

また、限定販売で特に縮絨が楽しいキットも布見本付きで用意いたしました。
会場で実際に触って確かめてください。

また、洗いや縮絨の質問にも私がわかる範囲でお話しいたします。
まだまだ知らないことがあると思うので
絶対的なことではありませんが、一緒に考えてみませんか?
お話しだけでは分からないことが多いので、
ご自分で織られた物をお持ちください❣️

定番の糸のほか、冊子や本、ベストのキットなども持って行きます。

‼️現金のお支払いでお願いいたします‼️

準備の時間があれば、定番販売以外の糸も用意したいと思いますが、、、、
合わせて、流れてきた中古の糸も持っていきます。

会場でお会いしましょう❣️

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再び立ち止まる

縮絨についての投稿を終えて、さぁ次❣️
と思った矢先にまさかの活動停止
家族揃ってコロナに感染してしまいました。

滅多に風邪も引かないのに、1ヵ月で2度目の風邪症状
軽く考えていましたが、10日以上過ぎてもまだ本調子に戻りません。

といっても寝込むほどではないので、少しずつできること(何時もの1/5くらい)をしています。
構想は練っていたものの、スピニングパーティーの実際の準備は手付かず💦

リハビリ兼ねて、やっと織り上げた物を洗いました。

これで少し進めそう。。。
教室始めて20年余り、初めて体調不良で長いお休みをいただきました。

それにしても、やっぱりコロナは侮れない。
パンデミック頃に感染された方々の辛さを思いました。
もう少しスローペースにお付き合いください。

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再び「縮絨とは?」

4回にわたって「縮絨」についてのことを書いてきました。
最後にもう一度‼️

『布の仕上げ工程で縮絨と言えるのは羊毛の紡毛糸の布だけ。』
なぜって、縮絨とは「羊毛特有の変化する性質を引き出して、
膨らみや風合いを引き出すこと」だから‼️

縮絨前と後を比較してみてください。
(スコットランド製ラムウール双糸)


『でも、なぜ紡毛糸だけ?』

縮絨の工程で羊毛特有のの変化する性質を引き出して、
膨らみや風合いを引き出す事ができるのは、なぜ紡毛糸だけなのか?
羊毛特有の性質は表面にあるキューティクルが大きな役割を果たしています。

水分が加えられると、キューティクルが開き、
そのまま絡み合うことで繊維同士が結合、
その度合いによって、布の風合いが異なります。

羊毛がフェルト化するのも、
羊毛がチクチクするのも、
羊毛が湿気を吸ってくれるのも
羊毛がその湿気で発熱するのも、
キューティクルがその役割を担っているからなんです。

近年「ウォッシャブル」というウールニットがほとんど。
手編み用毛糸まで「ウォッシャブル」
洗濯機で洗っても縮まないウール製品ですね。
羊毛のキューティクルを溶かしたり、コーティングして縮まないように加工しているそうです。

羊毛好きにとっては、これでは羊毛の良さがない‼️と思うのですが。。。

紡毛糸といっても、毛質や撚り具合や、織り密度の違いで
縮絨の様子が少し違います。

写真はラムウール双糸ととても似ているのですが、
布の膨らみを出すのにかなり時間がかかりました。
毛質は少し固めだけど、ラムウールとまは違う膨らみです。

これは縮絨のお試しとしてサンプル付きの限定販売キットにする予定。

縮絨のやり方については、
感覚的にしていることを言葉でお伝えできるような裏付けを確かめるために
もう少し実際に試してからお伝えします。

スコットランドの糸の販売を始めた20年近く前は
日本の工業用毛糸が、手仕事の人たちが使えることはほとんどなかったのですが
気が付けば、糸屋さんの糸見本の中に似たような糸が入っています。

10月の東京スピニングパーティーから
国産毛糸を使ったチェックマフラーのキットを販売します。


写真ではお伝えできない布の膨らみを確かめに
会場にお越しください❣️

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紡毛糸と梳毛糸

羊毛から作られる糸は大きく分けて2種類あります。

*紡毛糸(woollen spun)
 短くて縮れた羊毛を混ぜこぜの状態で撚りをかけた糸

*梳毛糸(worsted )
 長めの羊毛を平行に並んだ状態で撚りをかけた糸

それぞれに合った羊毛があります。

それぞれに作られる糸のタイプも違います。
写真の羊毛を糸に紡いでみました

もちろんこれらの糸を使った布(編みや織り)も風合いが違います。
❣️毛はなりたい糸になる❣️糸は嘘つかない❣️
右の短めで縮れがある羊毛を繊維を揃えて梳毛糸紡ぎした糸は
縮れの膨らみがある性格を残しつつ、梳毛糸の強さも持っている。

羊毛や手紡ぎについては、奥がとても深く簡単に定義付けしたり
言葉で表現することはとても難しいことです。
正解は無いような。。。。
なので、ここでは<<紡毛糸と梳毛糸の2つの違い>>を感じてください。
この違いが両極端にあるとすれば、その間に多くの種類の毛糸が存在しています。
そんな視点で糸を見てみたら、自分が欲しい風合いに繋がる道筋が解るかもしれません。

この記事をまとめる過程で気がついたこと。
それは、元々羊毛文化が手仕事から発生していない日本。
現在私たち羊毛の手仕事を楽しむ間で使われている言葉は、
毛織物産業からきているということ。
そのために本来の意味とは違う使われ方をしていることがありますね。
今回気になった「縮絨」という言葉も。。。





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衣服文化の違い

私がツイードに手織りを習いに行った英国は
長い紡毛糸の衣服文化と、手織りで工業用の毛糸使うバックグランドがあります。

ブリテン島には古くから羊が居て、大昔から人々は羊がくれる羊毛を糸にして衣服を得ていました。

写真はスコットランドで撮影

そこに居る羊はツイード向きの毛質(短くて縮れている)なので
それが産業として発展したことはとても自然です。
5000年前から糸を紡ぐ人とその糸で織る人は別だったと聞いたことがあります。
産業革命前、人々は暮らしのために羊毛を手紡ぎし
それを
買い集めて織り手に売る商売をする人がいて
織り手は織れた布を売って生計を立てていたそうです。

産業革命で糸の機械生産が始まると、織り手は工場から糸を買って織り
その後織機が開発されて、やがて生計が成り立たない手織りは無くなっていったというのは自然な流れであったと思います。

今でも英国の手織りは、工業用の糸を買って織るというのが当たり前。
英国にいるのは肉用の羊、その毛は、短く縮れていて紡毛糸向き。
その糸で織った物は洗って、油で抑えていた毛を広げ絡ませて縮絨することでしっかりした布になります。

*工業用糸に油が付いている理由
紡績時に羊毛を傷めないために油と水を混ぜた物を吹きかけます。
機械で製品化(織やニット)する時に毛羽立ちを抑え、切れ難くする効果があります。

元々羊が居なかった日本に羊毛が入ってきた時に
日本の衣服文化(着物を織る絹や細い綿糸)で馴染まれていた
「すんなり滑らかな毛糸」を作ったのだろうと想像します。
それは長い羊毛だけを平行に揃えて撚りをかけた梳毛糸です。
手編み用の毛糸が人々の1番近くにある梳毛糸ですね。
例外はありますが、一般的に収縮性があり摩擦に強く、
編んだ後でサイズや風合いが変わらない、編み糸に適した性質です。
また学生服や紳士用スーツなど薄手で丈夫な服地も梳毛糸で織られています。

このような衣服文化の違いからか、
約50年前に私が体験したら「洗って変わる糸」のことを知る人も
興味を持ってくれる人もいませんでした。
そういう点からはインターネットの発達とSNSの普及は凄いものですね。

しかしながら、
縮絨については実物を見て、触って自分で経験する以外に本当の理解に至りません。

東京スピニングパーティーに色々な実例を持っていきます。
触ってみて、その風合いが好きな方だけに限定販売のキットも用意いたします。
勿論通常販売しているスコットランド製ラムウールの糸で織っても
とてもふっくらした風合いになります。

これまでタリフの糸で織られた物を見せてください❣️
又は他の糸でも風合いに満足していない布がありましたら
是非会場にお持ちください。
見せていただいたら、何かアドバイスがあるかもしれません❣️



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縮絨とは?

布の仕上げ工程で縮絨と言えるのは「羊毛の紡毛糸」の布だけ。

なぜって、縮絨とは「羊毛特有の変化する性質を引き出して、膨らみや風合いを引き出すこと」だから‼️

*Scouring (スコーリング)  精錬・洗い
 糸に付いていた糊や油、汚れなどを取り除く。

*Fulling (フリング)またはMilling(ミリング)   縮絨 
 布をぬるま湯などで揉み洗いすることで、
 羊毛特有の変化する性質を引き出して、
 膨らみや風合いを引き出すこと。

 *Felting(フェルティング)
  Fulling より更に強く、長く揉み洗いすることで、羊毛繊維をフェルト化させること

これは5月にもお伝えしています。

羊毛でも「この変化」が得られない布の仕上げは
「縮絨とは言えない」と思いますが、いかがでしょう?

日本での羊毛文化は、羊が日本にやってきてから
日本の羊毛産業も200年の歴史と聞いています。
そんな理由から、今回英語を日本語に訳す道筋で説明してみました。

専門的な知識からではなく、実際に自分で試して見つけた内容ですから
全てが正しい表現ではないかもしれません。
羊毛の違い、糸の太さや撚り加減、加えて織り組織や密度によって
そして洗う時の条件によって、結果は全て異なります。
私もまだまだ研鑽中、だから楽しい❣️

次は、長く引きづがれた衣服文化の違いを整理してみましょう。





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