1か月ほど前のお話しです。
紳士服のレジェンドと言われる赤峰幸生氏に、手織りのツイードを見ていただきました。
めだか荘というのはお仕事されている住宅地にある1軒家。
長くツイードに“こだわって”織ってきましたが、紳士服地としてなかなか認めてもらえません。
着物地なら手織りと機械織りの違いを知る人は多いのに、
私の服地に対するこだわり「機械織りでは出せない風合い」は通じるのか????
伺う前にご著書「赤峰幸生の流儀」を読みました。
伝統的な紳士の装いにこだわりを貫く赤峰氏の流儀に、
伝統ある色の使い方や手間をかけて良質な装いの好みなど共感することが多くありました。
実際めだか荘には、伝統的な装いの数々や資料がたくさんありました。
これまで私が訪ねたテーラーと違うのは、赤峰氏ご自身が長く愛着されて来た装いの数々、
また現在購入可能なこだわりの布で作られたお勧めの装いが提案されていること。
説明してくださるお話しの中に、私がスコットランドで訪ねた会社や工場、また伝統的なチェックデザインなど、共有できることを多くお持ちで、とても嬉しい経験をさせていただきました。たくさんの資料の英国の書棚には、私のツイード織りの教科書である「Scottish Estate tweed」の本もありました。
持参して見ていただいたツイードは、目が詰まった良い服地と評価してくださいました。
ただ、伝統的なトータルコーディネートを大事にされる赤峰氏の流儀と、色を組み合わせてチェックを織る私のツイードは、全てが合う物では無いこともわかりました。
持参した服地
このことから、私の手織り服地の立ち位置は、主に「婦人用一点物」とはっきり見えてきました。
勿論ツイード用の糸を使って織った服地は紳士ジャケット向きの服地もありますが、
この頃は柔らかい物やモヘアを使った物、紳士向きではない大きなチェックの服地も織っています。
歳を重ねて以前ほど織れないジレンマはありますが、
少しずつ想いを布に織ることを続けたいとエネルギーをいただきました。
この経験をアウトプットするまで時間がかかりましたが、
めだか荘で与えられたことが多く、バラバラなジクソウパズルをはめる作業のように、
言葉にまとめる時間が必要でした。
今まで通り、私の限られたキャパシティをフルに使い
身の丈にあった自分らしい織りを目指したい、自分の想いを新たにしました。