タータンの記事の校正を頼まれた時に
「タータンは縮絨しないんですか?」と聞かれたことがあります
縮絨はしないけど、洗いはします!
それほど、「縮絨=洗い」が定着しています
でも、縮絨は洗う事ではありません
これに関した話を整理して少しずつ書きたいと思います
縮 絨 字の意味を考えてみましょう
縮 は文字通り、縮むこと
絨 は主に厚地の毛織物を指すと辞書にあります
では、どんな布でも織った後に洗うことで、縮んで地厚になる?
答えは No!
洗っても風合いが変わらなかったことがあるでしょう
44年前、英国へ語学留学中に参加した手織り講習で織った物です
先生に言われるまま、織った一部を熱い少量のお湯と石けんぶくぶくで洗うこと20分
出て来たのが、毛布のようにフェルト化した布でした
(画像では見えにくいですが、実物は風合いの違いが良くわかります)
使った糸が手編み用じゃないけど、何が違う?
そこから、私の糸へのこだわりが始まりました
英語の本には、仕上げのところに
score(洗い)とmilling(縮める)と別々な工程として書いてあります
*score 糸に付いた汚れや糸油を落とすための洗い
*milling 更に縮めて厚みがある布にするための工程が縮絨
score と wash は同じく洗うことを意味しますが、
scoreの方が汚れをゴシゴシ擦って洗うような時に使う言葉だそうです。
そして一番大事な「縮絨する布」は紡毛糸であること!
羊毛を紡いで織るホースパンは紡毛糸に近い糸を使っているので
仕上げで、石鹸液をかけて踏んだり、ローリングしたり、洗濯機で回して縮絨します
でも、日本の紡績糸は圧倒的に梳毛糸が多いですね
手編み用の糸はほとんどが、梳毛糸です