講習会で使うためのサンプルを用意していて
感覚で話していたことが見えました。
「洗うと油が落ちて糸が膨らみ、毛が絡んで布になります」
これまで何度、そう言ってきたか、、、
ただ洗うだけでなく、もっとふんわりさせる洗い(縮絨)を加えると、厚みも増します。
写真は同じ14枚を重ねたところ。
小さめの布でのデータなので、目安だけなのですが、サイズも縮んでいます。
写真の布端は切り方が揃っていないので見た目は変わりませんが、切る前のサイズの計測です。
タリフで扱っているスコットランド製ラムウールの糸が
なぜこのように洗いで変わるのか⁇
この糸は工業ニット用の紡毛糸です。
毛質は縮れて短い、糸に作る過程で羊毛を保護するために加えられた油分が残っています。
工業使用の場合、油が付いていることで毛羽立ちが少なく切れ難くなります。
織りやニットの加工後に洗って風合いを出して製品にするわけです。
石鹸液に漬けると油が落ちて、毛が広がり毛と毛が絡まって布になります。
これは紡毛糸の特徴で、梳毛糸の布はこのような変化は出ません。
洗いはタリフのHPでご確認ください。
更に膨らみを出したい時は、石鹸液の中で振り洗い
又はティーバッグをカップの中で上下させるように、
石鹸液を布に含ませては持ち上げることを繰り返します。
これをやりすぎるとこの糸はあっという間にフェルト化しますから
様子を見ながら、繰り返すのがポイントです。
幅の広い物を洗う時は、布の中央から多く縮むので布端がひらひら伸びているなんていうことになりかねません。
そんな時は布を縦に半分に折り、そのまま石鹸液に漬け、まず布端の部分を軽く揉み洗いします。
最初に布端を少し縮ませ、それから全体を洗う様にすると良いようです。
干す時にも中央部分が縮み気味なので縦に引っ張って整えて乾かします。
これが絶対ではないけれど、長年この糸で織って、洗ってきた私の経験です。
洗って変わる布に魅了されてかれこれ50年
この糸を使うようになって20年、未だ飽きません〜