手織りテクニック

糸綜絖の作り方

織り始めて綜絖通しの間違いが見つかった時に
レース糸のような切れにくい糸で欲しいところに糸綜絖を作って直します。

このやり方を教えて欲しいというリクエストがあったので写真にまとめてみました。

ポイントは穴の位置を合わせること。

昔、細い針金やナイロン製の物が無い時は、強い糸を結んで作っていました。
スコットランドで見た古い織り機の糸綜絖は蝋でコーティングしてありました。

綜絖通しの間違いは直せるので、手間を惜しまないでくださいね❣️

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布の縮みと風合い

講習会で使うためのサンプルを用意していて
感覚で話していたことが見えました。

「洗うと油が落ちて糸が膨らみ、毛が絡んで布になります」
これまで何度、そう言ってきたか、、、
ただ洗うだけでなく、もっとふんわりさせる洗い(縮絨)を加えると、厚みも増します。
写真は同じ14枚を重ねたところ。

小さめの布でのデータなので、目安だけなのですが、サイズも縮んでいます。

写真の布端は切り方が揃っていないので見た目は変わりませんが、切る前のサイズの計測です。

タリフで扱っているスコットランド製ラムウールの糸が
なぜこのように洗いで変わるのか⁇
この糸は工業ニット用の紡毛糸です。
毛質は縮れて短い、糸に作る過程で羊毛を保護するために加えられた油分が残っています。
工業使用の場合、油が付いていることで毛羽立ちが少なく切れ難くなります。
織りやニットの加工後に洗って風合いを出して製品にするわけです。

石鹸液に漬けると油が落ちて、毛が広がり毛と毛が絡まって布になります。
これは紡毛糸の特徴で、梳毛糸の布はこのような変化は出ません。
洗いはタリフのHPでご確認ください。
更に膨らみを出したい時は、石鹸液の中で振り洗い
又はティーバッグをカップの中で上下させるように、
石鹸液を布に含ませては持ち上げることを繰り返します。
これをやりすぎるとこの糸はあっという間にフェルト化しますから
様子を見ながら、繰り返すのがポイントです。

幅の広い物を洗う時は、布の中央から多く縮むので布端がひらひら伸びているなんていうことになりかねません。
そんな時は布を縦に半分に折り、そのまま石鹸液に漬け、まず布端の部分を軽く揉み洗いします。
最初に布端を少し縮ませ、それから全体を洗う様にすると良いようです。
干す時にも中央部分が縮み気味なので縦に引っ張って整えて乾かします。

これが絶対ではないけれど、長年この糸で織って、洗ってきた私の経験です。
洗って変わる布に魅了されてかれこれ50年
この糸を使うようになって20年、未だ飽きません〜

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布端をきれいに織るコツ

手織りで皆さんが気になることの一つが布端をきれいに織りたいということですね。
きれいにするためにどうしても緯糸を引っ張り気味になるために
チェックなのに経糸くっ付き縞模様になっていませんか?
2つ前の4月14日の投稿参照
では、どうしたらちょうど良い具合に緯糸を入れられるのか?

織り始めは幅が縮む要素が無いので、ほぼ筬の幅のままですが、
10cmも織ると両端はつぶれていないのに、少し幅が縮んできます。
それは緯糸が経糸の間をうねうね曲がるために出てくる縮みです。
端がつぶれずにきれいに織るために、
ちょうど良い緯糸の緩みが入れられれば良いのですが、
なかなか難しいのが現状ですね。

ちょっとしたテクニックを紹介しましょう。
これは綿糸、120cm幅のテーブルクロスです。


この弛んでいる長さが、緯糸の必要な長さですから、そのまま打ち込みます。
ちょっと手間がかかりますが、布端がきれいです。
織り幅に引っ張って織る伸子という道具もありますが、
使わなくても適度な状態で織れるので、私は使っていません。
ちなみに緯糸が弛み過ぎていると、布に凸凹に出てしまいます。

糸、密度、織り幅など条件によって違うので、良く観察して工夫してみてください。

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織り縮み

この頃手織りをされている方々から「織り縮み」について
質問されることが度々ありました。

糸を布に織ると、機械織りでも、手織りの達人でも
必ず織り縮みはあります。
だって、ピンと張った経糸の間を緯糸が上、下、と通され、打ち込まれる。
糸はなりたい形状になる。
ということは緯糸がウネウネとなるわけで
織り幅の長さで足りる訳が無い‼️
なので、織る時  緯糸を斜めに入れると教えられる訳です。

これは最近1m幅で織った服地の巻き取りの端
最初は広かったのに、少し進むと幅が狭くなり、その幅が続いています。
左右同じです。
計測してみたら、織り機の上での縮みは通し幅からマイナス6%

では <適正な縮み> と <縮み過ぎ> の違いは❓
端の経糸の様子を見てください。

左は生徒さんがご自宅でおられた画像をお借りしました。
同じ2色4本ずつの経糸ですが、緯糸の長さが少し足りず、端が引っ張れて模様が潰れています。
最初から端がきれいに織れないので、どうしても引っ張り気味になる結果
手織りを始めたばかりの方に多く見られる現象です。
右は私が織っている織り機の上の写真。

織り機から外すともう少し縮み、洗うともっと縮みます。
タリフのラムウール双糸は4本/cm平織り、5本/cm綾織りともに最終的に約20%縮みます。

縮み率は、使う糸、太さ、織る組織、密度、経糸の張り具合、仕上げ、
更に織る人の手加減などで異なります。
大体の目安はありますが、一定ではありません。
なので、自分のデータを記録することが一番有効だと思います。

経糸の張り具合のことも質問されますが、
ウールは絹糸ほどは張りませんが、それでもかなりテンションをかけます。
織りやすい張り具合があるので、織って試してみてください。
経糸の張りに多少のバラつきがあってもしっかり張るとすくったりするミスが減ります。

私は手織りの細かいことについては誰かに習ったことはありません。
多くの基本的な考え方はDavid Gurneyが示してくれましたが
ほぼ全て自分流。異なる考えがあるかもしれません。
なので、この情報を元に自分で確かめてください。

Davidの口癖
織りに何が正しくて、何が間違いは無い❗️

自分が望んだ物が織れれば正解だし、
何か違えば、観察してどうしてかを考えましょう❣️

楽しむことが一番大事ですね〜

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