織って洗いました

先日からシリーズでお知らせしている紡毛糸と梳毛糸の比較です

綾織にして洗って比較しました
とっても、とっても面白い結果が出ました

まず織り
番手は大体同じでも、太さ(ボリューム)が違うので
糸の見た目の太さに合わせて密度を決めました
Z撚りのレース糸を補助糸に使って縦糸をつないで巻き取り、綾織にしましたました

梳毛糸は8本/cm 30cm幅で240本

脂が残っていて少し開きにくい感じはありましたが
織るのには問題なく、縦糸が切れることもありませんでした

紡毛糸は梳毛糸より少し太いので6本/cm 30cm幅180本

撚りが甘いところがあるので、切れるかとちょっと気になりながら織り始めましたが
1ヶ所糸のつなぎ目がす~と抜けただけ

織り上がった2枚を並べてみました

左が紡毛糸、右が梳毛糸
糸にかなり脂が残っているので、触っての風合いの違いは思ったほど出ないかなぁ~という感想。でも写真を見たら、画像のほうが違いをはっきり見せてくれました。

この2枚を洗いました
練りモノゲンを溶かしたお湯につけたら、見ている間に風合いが変わってきました
梳毛糸のほうが撚りがきつかったのか、糸が波打って布が縮みみたいになりました

今回は、糸を混ぜて織ることはしませんでしたので、縮みが一定ではありません

そして、もっと面白かったのは、残った糸をかせにして洗った結果

すっかり脂が取れたら、梳毛糸の方がくりくりに縮んでしまいました
この糸をつむいでくれたbaruさんのブログを読んでくださった方はご存知だと思いますが
撚り止めのために洗った後は、紡毛糸のほうが縮んでいったということでした
でも、今度は梳毛糸がお湯に入ったとたん、くりくり状態になりました

この後、baruさんと電話でいろいろ意見交換をしました

梳毛糸の方が撚りがきつかったからくりくりになった。もう少し撚りがゆるいほうがいいのかなぁ、でも紡毛糸に比べ梳毛糸は撚りがちゃんとかかっていないと糸になりにくいのも事実でしょう。梳毛糸の場合双糸にすることで、単糸の撚りが取れてゆるくなるし、やわらかい風合いになるのだろう

その点、紡毛糸には、毛と毛がバラバラにならないようにつなぎとめているバインディングファイバーが混ざっていることもあって、甘撚りでも切れにくい??ホント? 撚りが甘いと太さも出るし空気をたくさん含むので暖かい。暖かくて軽い布になりますね。

次のチャレンジとしては、この羊毛がなりたい太さの梳毛糸(今回より細め)を紡いで頂き、単糸と双糸で織って比較すること。これはもう少し先になります

ちなみに、梳毛糸の布はまず双糸で織られていると思います。タータンの本を拾い読みしていて、大昔、スコットランドにいた原種に近い小さいみすぼらしい羊の毛を細い梳毛糸に紡いでタータンを織っていたという内容に興味を持ちました。以前ある博物館で見た、朽ちかけたタータンの布は細い梳毛の双糸で織られていました。大昔からお金持ちの豪華な衣服は薄手で光沢がある梳毛糸で織られた布。今でも正装はそうですね。晩餐会に紡毛糸で織られたツイードを着ていく人はいないでしょう。どうして、あれほど寒いスコットランドで暖かい紡毛糸で織られた布の方を珍重されなかったのか、それは、創造の粋を出ませんが、多分手間をかけられて作られる梳毛糸の布の方が価値が高く、身分の高い人たちは暖かさより高い価値を好んだのかもしれない、と思ったりします。古今東西これは変わりませんね

紡毛糸・梳毛糸の比較は、とても面白いヒントをたくさんくれました
体験から、羊毛産業の事がわかったような気がします
昔の人はきっとこうやって、技術を発達させていったのでしょう

あ~あ 楽しかった 
長々読んでくださってありがとうございました

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