2025年 の投稿一覧

紡毛糸と梳毛糸

羊毛から作られる糸は大きく分けて2種類あります。

*紡毛糸(woollen spun)
 短くて縮れた羊毛を混ぜこぜの状態で撚りをかけた糸

*梳毛糸(worsted )
 長めの羊毛を平行に並んだ状態で撚りをかけた糸

それぞれに合った羊毛があります。

それぞれに作られる糸のタイプも違います。
写真の羊毛を糸に紡いでみました

もちろんこれらの糸を使った布(編みや織り)も風合いが違います。
❣️毛はなりたい糸になる❣️糸は嘘つかない❣️
右の短めで縮れがある羊毛を繊維を揃えて梳毛糸紡ぎした糸は
縮れの膨らみがある性格を残しつつ、梳毛糸の強さも持っている。

羊毛や手紡ぎについては、奥がとても深く簡単に定義付けしたり
言葉で表現することはとても難しいことです。
正解は無いような。。。。
なので、ここでは<<紡毛糸と梳毛糸の2つの違い>>を感じてください。
この違いが両極端にあるとすれば、その間に多くの種類の毛糸が存在しています。
そんな視点で糸を見てみたら、自分が欲しい風合いに繋がる道筋が解るかもしれません。

この記事をまとめる過程で気がついたこと。
それは、元々羊毛文化が手仕事から発生していない日本。
現在私たち羊毛の手仕事を楽しむ間で使われている言葉は、
毛織物産業からきているということ。
そのために本来の意味とは違う使われ方をしていることがありますね。
今回気になった「縮絨」という言葉も。。。





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衣服文化の違い

私がツイードに手織りを習いに行った英国は
長い紡毛糸の衣服文化と、手織りで工業用の毛糸使うバックグランドがあります。

ブリテン島には古くから羊が居て、大昔から人々は羊がくれる羊毛を糸にして衣服を得ていました。

写真はスコットランドで撮影

そこに居る羊はツイード向きの毛質(短くて縮れている)なので
それが産業として発展したことはとても自然です。
5000年前から糸を紡ぐ人とその糸で織る人は別だったと聞いたことがあります。
産業革命前、人々は暮らしのために羊毛を手紡ぎし
それを
買い集めて織り手に売る商売をする人がいて
織り手は織れた布を売って生計を立てていたそうです。

産業革命で糸の機械生産が始まると、織り手は工場から糸を買って織り
その後織機が開発されて、やがて生計が成り立たない手織りは無くなっていったというのは自然な流れであったと思います。

今でも英国の手織りは、工業用の糸を買って織るというのが当たり前。
英国にいるのは肉用の羊、その毛は、短く縮れていて紡毛糸向き。
その糸で織った物は洗って、油で抑えていた毛を広げ絡ませて縮絨することでしっかりした布になります。

*工業用糸に油が付いている理由
紡績時に羊毛を傷めないために油と水を混ぜた物を吹きかけます。
機械で製品化(織やニット)する時に毛羽立ちを抑え、切れ難くする効果があります。

元々羊が居なかった日本に羊毛が入ってきた時に
日本の衣服文化(着物を織る絹や細い綿糸)で馴染まれていた
「すんなり滑らかな毛糸」を作ったのだろうと想像します。
それは長い羊毛だけを平行に揃えて撚りをかけた梳毛糸です。
手編み用の毛糸が人々の1番近くにある梳毛糸ですね。
例外はありますが、一般的に収縮性があり摩擦に強く、
編んだ後でサイズや風合いが変わらない、編み糸に適した性質です。
また学生服や紳士用スーツなど薄手で丈夫な服地も梳毛糸で織られています。

このような衣服文化の違いからか、
約50年前に私が体験したら「洗って変わる糸」のことを知る人も
興味を持ってくれる人もいませんでした。
そういう点からはインターネットの発達とSNSの普及は凄いものですね。

しかしながら、
縮絨については実物を見て、触って自分で経験する以外に本当の理解に至りません。

東京スピニングパーティーに色々な実例を持っていきます。
触ってみて、その風合いが好きな方だけに限定販売のキットも用意いたします。
勿論通常販売しているスコットランド製ラムウールの糸で織っても
とてもふっくらした風合いになります。

これまでタリフの糸で織られた物を見せてください❣️
又は他の糸でも風合いに満足していない布がありましたら
是非会場にお持ちください。
見せていただいたら、何かアドバイスがあるかもしれません❣️



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縮絨とは?

布の仕上げ工程で縮絨と言えるのは「羊毛の紡毛糸」の布だけ。

なぜって、縮絨とは「羊毛特有の変化する性質を引き出して、膨らみや風合いを引き出すこと」だから‼️

*Scouring (スコーリング)  精錬・洗い
 糸に付いていた糊や油、汚れなどを取り除く。

*Fulling (フリング)またはMilling(ミリング)   縮絨 
 布をぬるま湯などで揉み洗いすることで、
 羊毛特有の変化する性質を引き出して、
 膨らみや風合いを引き出すこと。

 *Felting(フェルティング)
  Fulling より更に強く、長く揉み洗いすることで、羊毛繊維をフェルト化させること

これは5月にもお伝えしています。

羊毛でも「この変化」が得られない布の仕上げは
「縮絨とは言えない」と思いますが、いかがでしょう?

日本での羊毛文化は、羊が日本にやってきてから
日本の羊毛産業も200年の歴史と聞いています。
そんな理由から、今回英語を日本語に訳す道筋で説明してみました。

専門的な知識からではなく、実際に自分で試して見つけた内容ですから
全てが正しい表現ではないかもしれません。
羊毛の違い、糸の太さや撚り加減、加えて織り組織や密度によって
そして洗う時の条件によって、結果は全て異なります。
私もまだまだ研鑽中、だから楽しい❣️

次は、長く引きづがれた衣服文化の違いを整理してみましょう。





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糸口見つけた❣️

東京スピニングパーティーに出店を決めてから数ヶ月
多くの同じ楽しみを持つ方々と
直接会うことができる機会に何を伝えたいのか?
確かに「有る」のに形が見えずに、酷暑の日々。

多くが絡み合った何かをどうにかしたい💦
やっと、一度解いて整える糸口を見つけました。
糸口を見せてくれたのは、やっぱり糸‼️

最近、織った物の仕上げに洗う事を「縮絨」と言うことが増えていますが
「洗い」=「縮絨」ではありません ❌

「縮絨」の意味
 布をぬるま湯などで揉み洗いすることで、
 羊毛特有の変化する性質を引き出して、
 膨らみや風合いを引き出すこと。


専門的には正確ではないかもしれませんが、平たく言うと
洗うことで風合いを変えることができる「羊毛の紡毛糸」にだけ使える言葉です。

東京スピニングパーティーは羊毛を紡ぐ方々が始められたイベントです。
それに、2006年スコットランドの糸を持って出店した私の原点は
「洗うと変わる糸」 ズバリ 縮絨する糸です。

縮絨にこだわった資料や縮絨テーマの限定販売キットも用意しています。
画像ではなかなか伝えられない「縮絨」の極意を会場でお伝えします❣️
糸や布を、見て触って観察して、自分で確かめてください❣️
❣️そして私を見つけて質問してください❣️

続けて縮絨についてもう少し詳しくお伝えいたします。

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ツイードを織りあげました。



経糸をかけてから約3ヶ月
いつもなら、空き時間を見つけて早く織りたいと思うのに、
今回はいろいろあって、その気力が続かない💦
暑さに集中が続かない、、、
織りながらいろいろ思い巡らせるのが楽しむけど、
色々あってキャパシティを超えてしまって、考えたくない💦

でも最後はやっぱり楽しさを取り戻せて、次が織りたい❣️

手織りの服地の難しさは、緯糸の打ち込みを一定にすること。
4段〜8段毎に段数定規を当てて確認します。
大丈夫👌と思った途端にゆるくなったり、きつくなったり。

機械織りは設定通り少しずつ巻き取りながら打ち込むので必ず一定です。
だからチェックのサイズも必ず同じ。

でもゆっくり織り進める手織りは、高速の機械織りでは得られない風合いがあります。

油を洗い落として、縮絨するのは、ちょっと大変だけど
好みの風合いにできる楽しみも、、、
さて、いつ洗えるかなぁ〜


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夏休み終了



恒例のBBQで夏休みが終わりました。
父の晩年に始まった山岳部のお仲間とのBBQ
父はいないのに、未だに続いています。

やりたいことをたくさん考えて入った夏休み
結果は、ほぼ何もできずに過ぎてしまいました。

それでも鉄道の移動距離は約1100km
自分で運転した車移動距離も約1100km

初めて孫を1人で預かり
一緒にソフトクリーム食べたり、
花火をしたり、
もらった風邪で久しぶりに寝込み、まだ咳が時々出る
孫からもらう風邪菌は強い❗️

ゆっくり織りたいと考えていたのに💦
ミシンを出して縫い物をしたいと思っていたのに💦
新キットの紹介をしたいと思っていたのに💦

ほとんど何もできないで過ぎた“凄く暑い夏”

教室再開まであと数日
少しずつ活動始めます〜

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中古糸のタリフマーケット

高齢になられた染織りの先輩が、長い間人々が集まっていた仕事場を閉めるお手伝いで、大量の糸を引き取りました。
こんなにたくさんあるとは思わなかったけど
選ぶこともできず、車で3往復。。。。
長年複数の方々が持ち込んだとみえ、古い糸がたくさん‼️

教室の合間に約1ヶ月かかって、種類別に仕分けしたり、カセにして長さを出したり、洗ってみたり、、、

確かに古いけど、今は手に入らない糸もあります。
植物染色したウールや綿糸
ガサガサな麻糸やたこ糸、絹のキビソ
黒い糸はウール、絹、綿など色々
羊毛もあります‼︎

もう少し整理しながら、追って詳細をお知らせ致します
そんな糸を使ってみませんか?
多少の手間賃程度のお値段でお譲りいたします。

<< タリフマーケット >>
場所:手織工房タリフ 東京都清瀬市
日時:7月19日(土) 20日(日)
   10:30〜16:30 最終入場16:00
お支払いは現金のみ

なお、工房ではタリフの糸やキットのご購入もできます。
(事前にお知らせいただけると確実です)

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糸綜絖の作り方

織り始めて綜絖通しの間違いが見つかった時に
レース糸のような切れにくい糸で欲しいところに糸綜絖を作って直します。

このやり方を教えて欲しいというリクエストがあったので写真にまとめてみました。

ポイントは穴の位置を合わせること。

昔、細い針金やナイロン製の物が無い時は、強い糸を結んで作っていました。
スコットランドで見た古い織り機の糸綜絖は蝋でコーティングしてありました。

綜絖通しの間違いは直せるので、手間を惜しまないでくださいね❣️

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出張講習



1週間前ですが、タリフの最初の頃からの生徒さんが移り住んだ街で、1日講習をさせていただきました。
題して「糸は嘘つかない」

定期的集まって研鑽を積むお仲間たち
食い入るように見つめる眼差しが素晴らしい❣️

疑問の答えを何か見つけていただけたでしょうか?

楽しかったけど1週間経って疲れが出てきた⁇
やっぱり歳は嘘つかないなぁ〜

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布の縮みと風合い

講習会で使うためのサンプルを用意していて
感覚で話していたことが見えました。

「洗うと油が落ちて糸が膨らみ、毛が絡んで布になります」
これまで何度、そう言ってきたか、、、
ただ洗うだけでなく、もっとふんわりさせる洗い(縮絨)を加えると、厚みも増します。
写真は同じ14枚を重ねたところ。

小さめの布でのデータなので、目安だけなのですが、サイズも縮んでいます。

写真の布端は切り方が揃っていないので見た目は変わりませんが、切る前のサイズの計測です。

タリフで扱っているスコットランド製ラムウールの糸が
なぜこのように洗いで変わるのか⁇
この糸は工業ニット用の紡毛糸です。
毛質は縮れて短い、糸に作る過程で羊毛を保護するために加えられた油分が残っています。
工業使用の場合、油が付いていることで毛羽立ちが少なく切れ難くなります。
織りやニットの加工後に洗って風合いを出して製品にするわけです。

石鹸液に漬けると油が落ちて、毛が広がり毛と毛が絡まって布になります。
これは紡毛糸の特徴で、梳毛糸の布はこのような変化は出ません。
洗いはタリフのHPでご確認ください。
更に膨らみを出したい時は、石鹸液の中で振り洗い
又はティーバッグをカップの中で上下させるように、
石鹸液を布に含ませては持ち上げることを繰り返します。
これをやりすぎるとこの糸はあっという間にフェルト化しますから
様子を見ながら、繰り返すのがポイントです。

幅の広い物を洗う時は、布の中央から多く縮むので布端がひらひら伸びているなんていうことになりかねません。
そんな時は布を縦に半分に折り、そのまま石鹸液に漬け、まず布端の部分を軽く揉み洗いします。
最初に布端を少し縮ませ、それから全体を洗う様にすると良いようです。
干す時にも中央部分が縮み気味なので縦に引っ張って整えて乾かします。

これが絶対ではないけれど、長年この糸で織って、洗ってきた私の経験です。
洗って変わる布に魅了されてかれこれ50年
この糸を使うようになって20年、未だ飽きません〜

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