手紡ぎをする方なら一度は手にしたことがあるトップと呼ばれる羊毛は
梳毛糸を作るために作られたものであるとご存知でしたか?
羊の毛は細くて長いものや、縮れて短いものなど
体の部位によっても状態は違います
メリノのように細くて長い毛質は梳毛糸向きです
刈り取った羊毛はきれいに洗ってトップになって日本にやってきます
洗うための薬品が日本の環境基準に合わず、日本に工場はできないとか
圧縮されて硬い塊になって入荷されます
「止めてある針金を切ると、膨らむんですよ~」という説明に思い出すのは
スピニングパーティーの時、ひつじまるごと研究所の羊毛が
酒井さんの手で小さく圧縮されて届き、あっという間に膨らんだ様子です
トップから丁寧に糸を引き出そうとしても、どうしても節ができてしまいます
羊毛の繊維が平行に並び篠状になったものをどのように均一な細い糸にできるのでしょう?
その答えがこちら
7本のトップを合わせて機械に通します
その時、送りだす方のスピードを8、引き出す方のスピードが10だとすると
そこで少し伸ばされて細くなります
7本をあわせることで少々バラつきが残っているトップがより均一化されます
7本が細くなって1本になったものをまた合わせて、機械を通して少し細くします
この工程を何度も、何度も、欲しい細さになるまで繰り返します
なので、工場内は同じことをしている機械がたくさんあります
撚りがかかっていない糸は容器の上にそっと円を作りながら重ねられていきます
底にバネが入っていて残り少なくなると上に上がってきて
いつも同じ状態で糸を供給しています
この写真はずいぶん細くなりましたね
最終段階までの間に、元のトップにすると1500本が合わされたことになるそうです
だから、節のないきれいな糸になるんですね
続きは次回に
糸のこと
梳毛糸の紡績 佐藤繊維見学
子供の頃から作文が苦手です
これまでも、旅行の話など尻切れトンボになっているのがほとんどですね
今度もそうなり兼ねない
パソコンに向かう時間が取れないうちに次々と他のことが入ってきてしまいます
でも今回山形遠足で見て来たことはどうしても伝えたいので頑張りましょう~
スコットランドで沢山見て来た紡毛糸の紡績(機械で糸を作る)
きれいな細い梳毛糸をどうやって機械で作るのかを見てみたいとずっと思っていました
スコットランドでは梳毛糸の工場はないから
ヨークシャーへ行きなさいと言われたのはずいぶん前です
(ヨークシャーはイングランドです)
そして、3年前のスピニングパーティーで
友人に頼んで出店された佐藤繊維の社長さんに紹介してもらい
今回の工場見学を目的に計画した山形遠足となりました
佐藤繊維は山形県寒河江市にあり、
自ら羊を飼い始め紡績業を起こした創業者から現社長正樹氏は4代目
多分唯一又は数少ない 紡績からニットの完成品まで一社で行う会社です
現社長のユニークでモノづくりへの情熱で世界に知られる製品を生み出しています
その情熱はぜひ会社のサイト「紡績部」をご覧ください
紡毛糸の紡績に比べて梳毛糸は面白くないわよ~
と言われたことがありましたが
機械で糸を作ることに興味がある私としては、とっても面白かった
ちょうど本社にいらした正樹氏の話もお聞きできて
糸に寄せるただならぬ情熱に、こちらまで熱くなりました
手紡ぎをされる方ならなじみがあるトップと言われる羊毛から
どうやって細いきれいな糸ができるのか
次回をお楽しみに
手編み用の毛糸で織るには
手編み用の毛糸は手編みにした時に良い風合いになるように
糸が作られています
毛糸に弾力性があり、ゴム編みが程々に縮んでフィットしたり
縄編みがこんもりきれいに見えたり・・・
編んだ後で形崩れしたり、ダレてしまわないように作られた毛糸です
そのふっくら柔らかい糸の風合いを織りで生かすのはとても難しいのです
手編み用の毛糸の糸弾力性とふくらみは
細い糸を撚り合わせたことによって得られ
引っ張ると細く硬くなります
細くなったまま、後で糸が膨らむ隙間も残さずに
細かく緯糸で止めてしまう(打ち込む)ことが多く
どうしても硬い風合いになってしまいます
紳士背広や学生服のサージなどウーステッドと言われる布は
細く長い羊毛を細い糸にして織るので
薄くて丈夫、光沢がある布になります
メリノはこのような布を生産するための羊種だと聞きました
タリフの糸でも、洗って糸が膨らむのでそのための隙間を残して
織ってくださいとお伝えしていますが,手編み用の糸でも同じです
引っ張らずに置いた時の太さを参考に
経糸の密度、打ち込みを決めてください
織りながら出来上がった時のように織ってしまうと固くなります
中細毛糸を経糸緯糸ともに5/cmの密度の綾織りすると
程々柔らかい風合いになります
市販されている手編み用の毛糸は均一なものが多いですね
モヘアやループヤーンのような細い変わり糸を添えて緯糸に使うと
織った布に表情がつきます
平織のように織りがシンプルなら糸に変化をつけ
組織織りのように織地が複雑なら、糸は均一なものが適しています
そんなことを考えて表情のある布を織ってください~
糸が入荷しました
先週、スコットランドから1年分の糸が入荷しました
3年程前までは、注文から糸の準備が出来るまで半年近くかかっていたのが
近年、工場の生産量が増えているのか、工場が在庫を持っている物が増えて
注文から1ヶ月程で、糸の準備が出来ました
でも準備が出来ても、日本の通関のために必要な記述が整わず、
合計金額も0.02の間違いが・・・
これを訂正してもらうのに1週間
両親の介護関連で、大変な時期にこれらが重なり
受け入れ準備もできない内に届いたため、
これらを一手に担っている担当者(息子)も大変でした
いつもの120~150%働きました~
ファッションの色合いが少しずつ変わっているようで
長年定番として輸入販売してきた色が廃番になった色があります
タリフの在庫が無くなってしまったため、数色の定番色の入れ替えを予定しています
スピニングパーティーから始まる次のシーズン向けて整えるので
今しばらくお待ちくださいね
介護の話はブログ村のバナーの下に・・・・・
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整理が終わりません~
昨日タリフの糸巻スタッフのAさんが手伝ってくれて
入荷した糸を全部計量する作業をしました
入荷した毛糸は4種類45色
入荷の時に全て計量してアルファベットの記号をつけて記録
大きな箱に何が入っているのか解るようにしますが
これが大変な作業です
今日の工房は所狭しと箱と糸が一杯でした
色の数が多いので、在庫をどう収納するかが難しい
一番多く注文が入る白は20㎏の入荷です~
今日は息子と2人でチェビオットを全部在庫を含めて確認して
沢山ある物は予備を下の箱に、その他は上の箱・・・
ラムウールの単糸は一つのコーンが大きいので片手で持ち上げるのはちょっと大変
やっぱり腕や手が少々痛くなりました
ご注文に答えられるように、工夫をしていますが
工場で生産を止めてしまう色もあるので、お取扱いの色が少しずつ変わります
細かいご希望にもお応えしたいと思っていますので
何かあればお問い合わせくださいネ
糸がが届きました
昨日、スコットランドから糸が届きました
25㎏近い大きな箱が15個360㎏くらいです
配送のドライバーさんに2階まで運んでもらうのですが、だいぶ、息子も手伝いました
これまでで一番たくさん、色によっては2年分
教室がお休みの週末に全部出して計量、整理して収納の大仕事をします~
単糸で織るときの注意点
手織りのためのスコットランドチェックの本が販売されて2か月ほど
最近になって、問い合わせや糸のご注文を頂くことが多くなりました
今日、ラムウールの単糸で織り始めたけれど、
経糸が次々切れるということでお問い合わせを頂きました
単糸で織る時は少し注意が必要です
この糸は工業用に作られている糸ですから、簡単に切れる物ではないのですが
細くても切れない梳毛糸の糸とはちょっと違います
この糸は紡毛糸です
紡毛糸は比較的短いちぢれの多いタイプの羊毛を混ぜた状態で撚りをかけて糸にします
それに対し、梳毛糸は長く縮れの少ない羊毛を平行に並べて撚りをかけた糸です
繊維が長いので、切れにくく細い糸になります
タリフで扱っている3種類の糸は全て紡毛糸 織って縮絨する糸です
ラムウールの単糸、それを2本合わせた双糸(これがメイン)
それにツイード用単糸の3種類です
同じ単糸でもツイード用の糸は服地用ですから、そこそこ撚りもしっかりかかっています
ラムウールの単糸は言わば双糸のための単糸というところでしょうか
服地用というより、工場ではラムウールのマフラーやストールの生産に使用されています
単糸は少し伸びると、撚りが甘撚りになり切れやすくなります
そこへ経糸のテンションを上げるとすぐ切れてしまいます
なので、整経や機掛けの時になるべく糸を絡ませないように、撚りを取らないように
糸を触りすぎないようにする必要があります
絡んだ糸を何度も櫛掛けすると、その度に糸の撚りは取れて益々甘撚りになり、
切れる原因を作ってしまいます
1本はすぐ切れるのですが、束にすると強いので
糸が絡んだような時は束を持ってさばいてください
テンションをかけた状態で作業をすると良いと思います
タリフオリジナル冊子『千鳥格子のマフラーを織りましょう』で
このやり方の機掛けを丁寧に解説しています
タリフの教室では、双糸で基本を覚えたあと、細い糸は
まずカシミヤ(2/26)で細い糸に慣れ、
必要ならツイード用の糸でバック用の生地でも織って
それからラムウールの単糸を扱います
勿論、最初からトラブルなく織れる方もいらっしゃいます
切れてしまった時は別の糸を足しますが、
長めに用意して、綜絖から離れたところで、ほどけるように結びます
前にぴっぱてきた糸は少し撚り増しをして針で留めます
結び目が綜絖に近くなってきたら、元々の経糸が織っているところへ針で留められる長さになるまで
何度かずらして結びなおします
こうやって結び目を綜絖や筬でこすって再度切れてしまうことを避けます
経糸の張り具合も木綿やリネン、また絹を織られるようにピンピンに張らないでください
でもゆるすぎても絡みにつながりますから、ほどほど織り易いテンションを加減してください
と、今日はこんな内容の事をお知らせしました
その糸に合った扱い方をしてあげれば、大変ではありません
沢山切れるととても悲しくなりますね
大変でも糸始末をして洗うとわからなくなりますから、是非諦めずに仕上げて下さい~
以前の記事も合わせて参考になさってください
単糸は丁寧に
今日、というか、日付が変わったので、昨日ですが・・・
ツイード用のチェビオットという糸をお買い上げいただき、
服地を織る準備をしているという方から
お問い合わせの電話を頂きました
服地を織る準備で、小分けにするために枠に撒く作業中に糸が切れるので
経糸にしても大丈夫なんでしょうか? という内容
通常、絹糸や、梳毛糸など強い糸を扱っていらっしゃる方からすると
紡毛糸の単糸は強く引っ張ると切れてしまいます
繊維の長さは梳毛糸のように長くないので、
撚りをかける時に細くなってしまっているところが切れることは時々あります。
でも、ツイードの糸は工場で織られている物と同じ糸なので、
扱い方を気を付けると、切れて困ることは有りません~
絹糸のように滑りませんから複数の経糸を同時に整経される方は気を付けてください
私はチェックを織るので、千鳥格子の時は4本で整経することもありますが
1本や、2本で800~900本位の服地用の整経をします
糸に慣れていらっしゃる方は大丈夫な方もいらっしゃるでしょうね
しない方が良いという事ではありません~
ちなみに工場では部分整経、コーンをたくさん並べて大きなドラムに50本60本と巻き取って整経します
単糸はふんわりさせておくと、撚りが戻ろうとして糸がからみますから
なるべく束で扱い、束の単位で引っ張ってさばくと、比較的糸を触らずに通す作業が出来ます
コツはほどほどのテンションをかけて作業をすることです
それで、織る時ですが、絹糸よりはテンションは緩いとおもいますが、
経糸がふんわりするほどではゆるすぎます
(大きな織機の立派なレバーハンドルで力いっぱい巻き取ったら、
硬すぎて少し緩めました)
私は絹を織ったことがないのですが、きっと絹はピンピンに張って織るのでしょうね
糸の性質をわかって扱ってあげると、結果が良いようです
タリフの糸が上手く扱えなくて困った時などお問い合わせください~
ちょっとしたコツをお教え出来るかもしれません
スピニングパーティーの会場においでになったらぜひお声をかけて下さいね
よく、『先生はいつも誰かと話して忙しそうだった』といわれますが
遠慮せずに割り込んでください
楽しみにしています~
糸が入荷しました
春早くに注文を出していた糸が届きました
早くに発注して、夏までに全て揃えるという話が、やっぱり2色欠品です
教室が休みの今日、糸巻を手伝ってくれるMさんAさんも来てくれて
糸を全部並べて、端から計量、個別にA・B・C・・・・とつけて記録をとって
お兄さんが事務所の奥の糸の箱に順番に収め・・・ 結構大変な作業です
とりあえず在庫切れになりそうな色が入りました
これからウールの季節、皆様のご希望に添えるように頑張ります~
18日には印刷に回った本ですが、そろそろ見本の物が出来るそうです
ワクワク待っています~
発売は9月4日と聞いていますが、タリフに届くのは9日頃だそうですから
タリフのウェブショップにご注文頂いた方々には、9日か10日に発送を予定しています
既に60冊以上のご注文を頂きました
皆さんから届く『楽しみにしています~』の言葉がとっても嬉しい~
送料無料サービスを9月末まで延長致しました
東京スピニングパーティーにも持って行きますので
中を見てからと思われる方は、是非おでかけくださいね
糸の油
年末に向けて、大口のご注文が続いて
皆さん年末年始のお休みに織りたいという方々の熱意が伝わってきます~
ご注文を頂いた色を間違えないように、担当の息子も頑張っています
年末は27日(金曜)の午前中までに頂いたご注文は年内に発送致します
その後棚卸作業等をしますので、その後は年明け発送になります
工房は自宅ではありませんので、何かありましたら是非留守番電話にメッセージを残してください
自分の物を織りに行ったりしますので、お急ぎならその時に連絡することが出来るかもしれません最近、『洗っても少し油のにおいが残る』と聞こえてくることが多くなりました
タリフで扱うスコットランド製の工業用の毛糸には製造時8~10%の油と水を混ぜたものがついています。
これは、羊の毛を染色のために脱脂、その後ブレンドや解毛のためにかけられるカーディングの工程で毛が痛まないように油と水を混ぜたものを吹きかけます。その油がついています
保管中にかなり乾燥していきますが、通常のお洗濯の洗剤の量ではその油はおとせません
お湯の温度も大事ですが、しっかり洗剤を使ってください
私は弱アルカリ性の液体洗剤を使います。正確に分析・計算したことは無いのですが、通常のお洗濯に使う洗剤量のざっと10倍以上要るでしょうか・・・
毛糸100gに対して液体洗剤を大匙1杯(15㏄)
動物性繊維にアルカリ性の洗剤は毛が痛むのですが、油を落すためには有効で、ゆすいでいる間に中性になりますし、心配なら最後の濯ぎに食酢をほんの少し加えて下さい
お湯の温度が高く、洗うお湯の量が少ないと、どうしても揉むようになってフェルト化してしまうので注意してください。たっぷりのお湯で泳がせると、毛糸がふっくら膨らんでくれます。織る時に糸が膨らむ隙間をのことしておくのも、ふんわり柔らかい布になる大事なことですね
この時点でしっかり油を落し毛糸を変化させておくと、その後の洗濯時にセーターを洗うようにぬるま湯の中で泳がせるように洗えば風合いは変わりません。
洗った後で油のにおいが残ってしまったけれど、風合いは良いのでそれ以上フェルト化(縮絨)させたくないという場合は、ドライクリーニングに出してください。ドライクリーニングは油を使うので、一緒に残った油を落してくれます。
余談ですが、マフラーで使って飽きてきたら、熱いお湯で揉んで思い切りフェルト化させてバックを作ったり、リメイクするのも良いですよ~
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